10/23(土)にオンラインで開催しました。
講師は長野県赤十字病院の産婦人科医にして
女性ヘルスケア専門医の山本かおり先生です。
かおり先生には
7/17に婦人科セミナー「愛は子宮を救う」をやはりオンラインでお願いしました。
そのセミナーの本番中に
「私、昨年、乳がんになったんです~!」と
明るくカミングアウトしたのが開催のきっかけです。
今や、癌は生涯で「2人に1人がなる時代」ですので
医者が癌になっても珍しくはないのでしょうが、
患者の伴走者として治療する側でいた医師が患者になってみての話を
ぜひ聞きたいと思ったのです。
今回もZOOMで長野と岩手を結びました。
<参考資料>
すこし前まで、乳がんのり患者は
「11人に1人の割合」といわれてましたが、年々増加し、
今は「9人に1人」です。
年間にして9万人が乳がんを発症し、14,000人が亡くなっています。
女性がなりやすい癌の1位ではありますが
死亡者数を見ると第5位。
比較的、治りやすい癌ではあるのです。
ただ初期では無症状のことが多く、山本かおり先生も「まさか、うっそ~」
人間ドックのエコーで見つかったそうです。
乳癌に限らず、どの癌も大きさと他所への転移があるかないかによって
ステージが分かれます。
それと、乳癌の性質、患者の年齢等によって、治療方針が決まっていくそうです。
こちらがステージ
こちらが性質
・女性ホルモンのエストロゲンの影響をうけるもの・・・ これが多く75%
さらに増殖性が高いか低いか
・HER2という癌増殖のたんぱく質の影響を受けるもの・・・15~20%
(HER2タイプはちょっと前まで治療法が難しい癌でしたが、今は
このタイプにも効く抗がん剤が出来たそうです)
・そのどちらでもないもの
おおかかに4つに分かれます。
かおり先生はステージ1で
最も多いといわれる「ホルモン受容体陽性で増殖スピードの遅いルミナールAタイプ」でした。
こちらがかおり先生の「まさか、ウッソー」の乳癌発見の経緯と治療経過です。
昨年のクリスマスに手術しているんですね。
その後、30回の放射線治療を受け、
3か月に1回、偽閉経の注射をし、ホルモン療法の薬を1日2錠飲んでいます。
ちなみに、ノルバデックスというお薬は
乳癌には非常によく効くお薬だそうですが、子宮にポリープができやすいそうで
このタイプのお薬をのむ方は定期的に婦人科で診てもらう必要があるそうです。
乳癌の75%がエストロゲンの影響を受けているものなので
患者さんが何歳なのか、今後、子を持つのか持たないのかは
大変重要な要素なんですね。
かおり先生は
「癌には運のいい癌とそうでない癌とある」といいます。
いわゆる5大癌というのは「乳・大腸・胃・子宮・肺」の癌のことですが
これらは見つかりやすい癌で
「運のいい癌」
生存率も高い癌です。
白血病、すい臓がん、胆管癌など、そもそも見つけにくい癌もあるわけで
「何歳の時、どの癌になるか?」はひとことでいえば「運」
どの癌でも早期発見、早期治療が大切ではあるが
仮に不運な癌のステージ3やステージ4で見つかったとしても
「癌と共存しながら生活する治療法もある」 そうです。
そして
「怖いのは癌が見つかることではなく、進行させること」
やはり定期的な検診が大事だということ
さらに、
信頼できる医師との出会い。
治療方法をお互い話し合える医師との出会いは
「たしかにこれまた運なんですけどもセカンドオピニオンは患者の権利、
堂々と使ってください」
とお話してました。
1時間のセミナーのあと、質疑応答に入りました。
今回は録画視聴者も多かったので
事前に質問をいただいておりましたが
その中で多かったのが下記の2つの質問です。
①公立病院の標準治療で大丈夫なのか?
↓
少なくとも、「ガン診療拠点病院」なら大丈夫。
「標準治療」というのは松竹梅の竹というような治療のことではなく
科学的根拠に基づいた最良の治療のこと
推奨されるスタンダードな治療のことです。
②抗がん剤は絶対に受けたくないのだが、どのぐらい患者の要望は受け入れられるのか?
↓
乳癌の患者さんにはそのように主張する患者さんが多く、代替治療を選択したいという
方は多い。
けれども白血病のように抗がん剤を使わないと治らない癌もあり、また抗がん剤は
日進月歩しており、副反応の少ない薬がどんどん開発されている。
「どうか、頭ごなしに否定せずに、
抗がん剤の話だけでも聞いてほしい」
という答えをいただきました。
今回のセミナーを受けて私が個人的に感じたのは
「2人に1人が癌になる時代」の意味です。
更年期は100%くるけれど
2人に1人というと、「自分はかからない」という方に思うんだなあということ
そして、みなさん、免疫をあげるとかバランスのよい食事をとるとか
予防には一生懸命だけれど
私を含めて
「なった時」のことはあまり考えず、「その時はその時」という方が多いような気がしました。
(私は予防にも怠惰ですけども)
不治の病ではなくなったとはいっても
がんと聞けばショックですが
「60才すぎればいつかは癌になるもの」と考えて
構えることも大切な気がします。
コロナの日本での死亡者数はこの1年半で、18,000人ですががんでの死亡者数は1年間で37万人
桁が違います。
コロナ禍で、病院の受診控えが増えたと聞きますが
早期発見、早期治療のためにも検診が大事だと改めて 思いました。
・・・というわけで私は年末恒例の人間ドックの予約をいれねば!です。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。