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「ヤラハタは嫌」
といわれて、何の意味なのか、わかるだろうか?
これは、「ヤらずにハタチになるのは嫌」という若者用語のことだそう。
では、10代の初体験年齢はいつなのか?
というと
一番多いのが「16才」と「15才」で、なんと60.5%
(平成25.26年いわて思春期研究会調べ)
特に中学を卒業した春休みから高1の夏休みに「ヤレるかどうか?」が
ひとつのステイタスになっているらしい。
しかし、そのステイタスにはリスクが伴う。
実際、講師の秋元先生が岩手県で唯一の思春期外来を
二戸病院に開設したのは
「一か月で中学生の中絶手術を3人したこと」が発端だそうだ。
驚くなかれ、平成13年に岩手県は10~20代の妊娠中絶実施率
が全国1位となっている。
その後、
「教育が必要」という現場の努力によって下がってはきたものの、
依然として変わりないのが
13才、14才、15才という中学生の中絶だ。
なぜなのか?
次のスライドを見て、会場はどよめいた。
理由は簡単で
「教えてもらっていないから」
小学4年生か5年生で、「生理や妊娠のしくみ」について習うも
その後、高校生になるまで、一切、性教育はないのだそうだ。
それは現在の文部科学省の教育が
「中学生はそもそも性行為をしない」という前提に立っているからだ。
わざわざ、「寝た子を起こす必要はない」というわけだ。
しかし
秋元先生いわく、「すでに起きている」
学校からも親からも教えてもらわない彼、彼女らはスマホの動画から性を学ぶ。
その結果、間違った知識を正しいと思うようになる。
たとえばが下記のスライドだ。
中には、彼氏とアダルト動画を見た子が
「私は潮を吹かないのですが、異常でしょうか?」と
思春期外来を訪れるケースもあったそうだ。
また、一方で、スマホで知り合った大人と援助交際をしながら
「先生、好きな子ができた」といい
「告ったの?」と聞くと
「そんなこと、できるわけないじゃーん。恥ずかしい」という少女がいる。
純愛とセックスは別なのだ。
こうした奔放な10代がいる一方で
「セックスに関心がない、嫌悪している」と答える割合も増え、
特に、10代女子で大幅に増加。
「これもまた二極化しています」
こうした現状を踏まえ、秋元先生が提唱するのが
「ライフスキル教育」
二戸病院の管轄である一戸町や二戸市内の中学3年生に
実施している。
そこでは
「性行為は悪いことではない」 ということや
妊娠のしくみを教え、
「生理がきたら、たとえ1回の性交でも妊娠する可能性があること」
を教える。
そして10代の出産、妊娠は
「9割が予期せぬ妊娠」であることも教える。
そのときに、必ず見せるのがこちらの画像だ。
わずか1.5㎝の
「これはモノ? これはヒト?」
秋元先生の凄いところは
妊娠中絶しても「それは失敗じゃない。少なくとも悪ではないんだ」
と言い切るところではないかと思う。
もちろん、それが母体に与える影響は説明した上で
「中絶は避けた方がいいが、しかし、1回の中絶や
性感染症はなんということはない。」
という。
その上で、2回、3回と「繰り返すのはいけない」と諭す。
(2014年のデーターでは一度、中絶手術を受けた人のうち
25.9%がその後も中絶をしている)
文部科学省が「中学生は性交しない」、
つまり「妊娠もしない」という前提にたっている以上、
現場の教師が教えることは出来ない。
だから
秋元先生のような産婦人科医という医療の現場の方が
「コンドームを使った性交のうち15%は妊娠する。
いちばん安全な避妊法は、低用量ピルであるが、
産婦人科でないと処方されず、月に3000円ぐらいかかる」
という避妊法についても細かく教える。
実際、ある高校生カップルは
「彼と彼女が1500円づつ出し合い、ピルで避妊している」という。
そして
「将来、産みたい時に、自分の意志で、
子どもを産みたい数だけ産み、育てる」
そのためには
思春期のうちから
「人生のスゴロク(逆算して、結婚、第1子~第3子出産年齢を予定していく)を
作ろう!」と指導しているそうだ。
そして
「虐待を受けてきた、
性被害にあった
中絶をした
出産経験がある
援助交際を含むセックスの経験がある
親が離婚している
両親ともいない」
は特殊な家庭ではなく、
たとえば
「実の親から毎日、あんたなんか産まなきゃよかったといわれている子どもが
ひとクラス40人とすれば、割合として1人か2人いるのに
1/2成人式で、生れた時のことを親に聞いてこいと宿題を出す、
母子手帳を持ってこいという
こういう教育でいいのか?」
と問う。
では
私たちは、どうすればいいのか?
まず、自分たちの子どもが
「ツイッターで、会おうといわれても
これが、正なのか、悪なのかを見極める力をつけること、
ヤベヤベといいながら、引き返す、ジャッジする力を身につけさせること」
そして、
「10代~20代の死因の第一位が自殺なのは日本だけ」
といい
「子どもは子ども。
友達が不幸な目にあって一緒に泣くことは出来ても何も解決できない。
だから、相談される大人でいてほしい」という。
私は、秋元先生の講演を聞くのは2度目になるが
今回、話を聞いて
平成28年に矢巾町いじめ対策委員会がまとめた調査報告書を思い出した。
その6ページめ「生徒のみなさんへ」の中で次のように書いてある。
「世の中すべての大人が信頼できるとは思いませんが、
3人に1人は信頼できる大人がいると思います。
あきらめずに少なくとも3人の大人には相談してみてください」
相談される大人になるためには
きっと、ちょっとの「おせっかい」が必要なんだと思う。
「ウザイ」と言われても
「私はあなたを気にかけているよ」と発信し続けるおせっかいが。
今回、最年少の10才から70代まで
各年代の、53名の方々に参加していただきました。
みなさん、水を打ったように静かに、真剣に聞いていただきました。
「娘に説明したいのだが、何か資料がありますか?」
という男性参加者の質問に
かつて秋元先生がパネラーとして参加したシンポジウムの
資料を見つけましたので参考にしてください。
皆様、ご参加いただき、ありがとうございました。
★矢巾町いじめ対策委員会の調査報告書pdf
https://www.town.yahaba.iwate.jp/docs/2016122300018/files/20161223133846052.pdf
★秋元先生がパネラーとして参加したシンポジウム
「機能しない家族 少年少女たちの貧困と性の健康に「ライフスキル教育」を」
https://wezz-y.com/archives/23093/2