「南部美人の社長の講演会をあさ開の蔵でやりたいんです!」
という唐突な申し出に「おもしろい!」と即決してくださった
㈱南部美人の久慈浩介社長と
「真樹さんらしい大胆なアイデアですね」と快諾してくださった
あさ開直営店、ステラモンテの岩井花店長のおかげで開催できたセミナーです。
月末のお忙しい時期にもかかわらず36名の方々にご参加いただきました。
久慈社長とは第1回目の「日本酒入門」の講師として
2011年11/28にお会いして、実際に会うのはこの時の打ち合わせ含めて4回目。
今回は、「南部美人が今や世界の26か国で飲まれるようになるまで」
その広報戦略をお話いただきました。
会の様子については先に書いたブログ記事があるので
そちらをあわせてみていただくこととして
http://ameblo.jp/novia-jyosi100/entry-12100462303.html
打ちあわせ時に伺ったお話もあわせて
ここでは「世界進出のための要点」をまとめてみたいと思います。
①最初から世界進出をめざしていた
検索していたら次のような記事を発見。
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20131124-00000001-wordleaf-nb&p=2
これにあるように
当初、久慈社長は家業を継ぐ気はなかったとのこと。
転機は高校時代の留学。ホームステイしたお宅で
「教師などだれでもなれるがジャパニーズワイナリーの跡継ぎはお前しか出来ない」
といわれてから。
そしてNYのエンパイヤーステートビルで夜景を見ながら世界進出を決意する。
そして1997年 海外進出を目指すいくつかの蔵元と「日本酒輸出協会」をたちあげる。
当時は、国税庁に「輸出=国賊」扱いされたそうだ。
逆風のなかでの海外進出、
追い風となったのは北米の健康志向と「和食ブーム」だそうだ。
※詳細はこちらのHPをご覧ください。
http://www.nanbubijin.co.jp/tsumikasane/challenge/
②取材されるような絵になる演出を必ず行う。
たとえば日本酒の樽をイベント会場に積み上げる
これでメディアの取材がくる。
そしてイベント参加者はその前で写真を撮り、SNSに投稿する。
今でも必ず南部美人と書いた法被をきてイベントには参加するそうで
自らを「広告塔」と言い切り、パフォーマンスに徹する。
とはいえ、パフォーマンスだけではなく、日本食レストランを地道に営業する、
という足で歩いた営業もしている。
実は北米進出時に尽力してくれたのは、岩手県人会の存在だそうだ。
県人会の他、盛岡一高出身の外交官や西欧でも岩手出身のレストランオーナーなど
さまざまな岩手県人の力を借りたらしい。
「“願わくば、われ、太平洋の橋とならん”といった新渡戸稲造精神が
岩手県人には流れてるんですね」
③郷に入っては郷に従え~異国だからこそ現地にあわせる部分はあわせる
ブログに書いたのだが、北米の高級和食店の日本酒ソムリエから
「1本20万の日本酒を納品せよ」といわれる。
が、そんなに髙い酒はない。
そのときはたまたま蔵に保管してあった20年前の酒を古酒として納品。
「日本酒はワインの感覚」という現地の感覚にあわせ、今ある資源で対応している。
また、「ナンブビジン」と発音できないアメリカ人に“Southern Beauty”
と直訳。しかしこれが受け入れられた。
日本の文化と伝統を異国にそのまま押しつけるのではなく、あわせる部分はあわせる。
この柔軟さこそ、世界へ出る際に必要なものなのだと思う。
④「飲んだときに笑顔あふれる太陽のような酒」を実践する広告塔
アパホテルの社長、サッカーの中田英寿、武蔵丸親方・・・
久慈社長のフェイスブックを見ると、世界中から名立たるVIPが
岩手県二戸市におりたち、蔵を訪れている。
この人脈は、普通ならば名刺交換をしただけの出会いすら
濃く太い人脈に変える魅力を久慈社長が持っているのだと思う。
その秘訣はきっとこの笑顔だ。
自らを広告塔といいきる社長は「飲んだときに笑顔あふれる太陽のような酒」
そのものを常に実践しているのだと思う。
⑤最初にやる、そしてリスクもすべて受け入れる
震災後に「被災地のお酒を飲んでください」と訴えたYoutubeの動画は
多数のメディアで取り上げられた一方、批判もあったそうだ。
しかし「その道を歩きだしたんだから、堂々と胸をはっていい続ける」というぶれない信念がある。
NHKの「あさが来た」でいうところの「first penguin」=先頭に立ちリスクを取る人
なのだと思う。なお、講演ではふれられなかったが、せっかくリキュールで勝負したにもかかわらずの宗教上の壁に阻まれて泣く泣く徹底したこともあるそうだ。
そして
この11/26のビジネスセミナーの縁で、その後、すぐに
二戸市に久慈社長を訪問したグループがあり、こうして㈱のびあで企画したセミナーを通じて横に広がっているのも主催者として嬉しいことです。
「広報戦略」や「SNS」に限定して行っているビジネスセミナー、
来年も不定期で開始していきたいと思っています。