ともすれば「3K」ともいわれる職人の世界。頭にタオル、足は地下足袋、愛車は作業トラック・・・。18才にして「チャラ男」や「草食系」とは真逆の造園職人となった今日のイケメンくん。社内で「おばさんたちをとりこにする」笑顔の主は、実は技能五輪全国大会で銀賞を受賞した実力派。会社の幹部期待のエースなのだ。
_まずは入社した経緯をお聞かせください。高校卒業してすぐに職人の世界って今では貴重な存在かと思うのですが。
矢巾町生まれで小・中と地元で、高校は紫波高校に入りました。㈱共同園芸に入社したのはほんとにたまたまで・・。学校に求人がきてたからなんですが。
うーん、庭に興味があったわけでもないですし、ただ自分がネクタイしめてデスクワークというのは想像できなくて。漠然とですが、「外で働く仕事がしたいな」と思ってたら「造園業」が目についたんだと思います。
_一日の仕事はどんな感じですか?
まず会社行くのは7時半です。そしてだいたい8時過ぎには現場について作業にはいります。庭や門やエクステリアの設計図どおりに親方の指示のもと、工事していきます。
雨のときですか?雨でもやれる仕事はたくさんありますし、コンクリートやブロックなどは冬でも関係ないですから基本は年中外ですね。だいたい17時ごろまでは現場ですね。工期によっては残業もありますし。2~3日で終わる現場もあれば2か月の現場もありますけど、とにかく現場が好きなんですよ。木や石やコンクリート相手に設計図通りにものが出来ていく過程が好きです。
長期の現場ではお客様と仲良くなることもありますし、完成したときに「ありがとう」といってもらえるし、
自分の仕事が形になるのがいいんですかね?「あそこのコンクリ俺だ」みたいな。
_平成18年の技能五輪の全国大会造園部門で銀賞とったとお聞きしましたが。
技能五輪は,金属、電子、情報、建築、サービス系といって理容・美容や和洋食・菓子それぞれの料理もあるんですけど、いろいろな部門別に課題の出来を競うんです。金賞だと上の国際大会もあると聞きました。それの造園部門に会社から出ろといわれまして・・。
その時は香川県で開催でしたので行ってきました。
いまでは設計をしている当時は女性職人と2人でペアで出ました。2日間かけて課題の庭を作って・・。
銀賞ですか?もちろん嬉しいですけど、ペア組んだ方が優秀だったんで、自分は彼女に助けられての実績です。
_それこそ仕事の道具を見せていだけますか?
これらです。これを常に腰にぶらさげてやっています。頭にタオル、Tシャツに作業用ズボン、足は地下足袋ですね。
地下足袋は慣れないと足の裏が痛くなりますね。入社してしばらくはホント痛かったです。
_ ちらりと見える肌が白そうなんですが、ちょっと見せてもらえますか?頭のタオルも取ってください。おお白いけどワイルドお~!
夏場はいつもこんなです。あーでも冬になるとちゃんと色白に戻りますよ。
日焼け止めですか?つけてる人ももちろんいると思いますけど、どうなんだろう?
自分は「つけない派」です。
頭は・・・・髪切りに行かなきゃいけないんですけど。いつもタオルでびしっと縛ってしまうんで長くなったなあと思っても放置してしまいますね。
_ あの、吉岡さんはこちらビューガーデンのスタッフのウケが、一番いいと聞いたのですが、普段はビューガーデンではなく、本社にいらっしゃるのですよね。日頃から交流はあるんですか?
うちの会社は設計部門と職人と管理部門とあとは共同園芸のアンテナショップとして2000年にオープンしたビューガーデンとがあります。
設計部門は夏場はこのビューガーデンで仕事していますが、職人は道具や車が本社ですので本社です。ただ木を取りにきたりはしますし、ここは冬の期間は閉鎖するのでそうすると設計もビューガーデンのスタッフもみんな本社へきますんで、半年間は交流あるのかな?
あとは社長以下社員全員、パートさんも含めての全体会議が年3回ぐらいあって・・・全員参加なんです。社長の「こういうふうに会社もっていきたい」という話があったり、各部門から報告があったり。
僕は職人のなかで一番の下っ端ですから黙っていることが多いですけど、専務が「この件についてはみんな話してください」って云ったりするので、そのときは発言しますね。全員なんで。
_パートさん含めて全員参加の会議っていうのは素晴らしいですね。
吉岡さんから見て、社長や上司は凄いな~って思う点ってどんなとこですか?
うーん、うーん、(と考えた末に)
親方は、持ってる技がすごいですね。自分は親方についていけばいいっていうか・・・。石の配置にしても流れにしても。設計図どおりの施工だとは思うんですが、きちんと四季の景色を意識してやるし、あともともとある土地の癖みたいなもの、傾斜とか背景とかそれを活かすのが上手いです。
社長はもともとサラリーマンだったらしいですが、「好き」で頼まれて庭をやっているうちにこちらを本業にしたと聞いていますんで、社長も造園の現場にいた人です。
牧草地だった土地をビューガーデンにしたのも社長だし、次々アィデイアが浮かぶ人です。
で社長が「造園業はよい仕事だ」と。
「きれいな庭を作るとお客様からありがとうといってもらえる。それだけじゃなくて、きれいな庭を見た近所の人がほめてくれる。きれいな庭を作ることは景観を作ることだから、その家の人ばかりでなく、周りの人も幸せするんだ・・・」っていう意味のことを話していて、自分もその通りだなあと。
_ は~ なるほど。美しい庭を作るとたしかに近所の人がそれを愛でてくれますものね。
職人の仕事に就いて自分で変わったなあと思ったことはありますか?
うーん。やっぱり自然や景観を見る目が変わったと思いますね。ブロックやコンクリ見ても積み方とか気になりますし。公園いっても川の流れや石の配置が気になるし。
ビューガーデンも、自分が入社するもっと前ですけど、もともとは牛を放してた牧草地だったのを、実は加工してるんですよ。
牧草地にもともとあった石や岩を一度はずして、あとから全部植え直したらしいです。だから人工の公園にありがちなわざとらしさがなくて、きちんと東根山や水分神社に合ってると思うし。ビオトープっていう沢が入口にありますけど、あそこもあんな渓流ではなくて神社からチョロチョロ流れる小さな沢だったって聞いています。
まわりの景色から浮いてしまう庭じゃなくてもともとの景観を活かして作るってすごいなあと思います。
何気なく配置したようでいて実は違うっていうか。それを14000坪でやってしまうっていうのはすごい仕事だなあと思います。それと木は生きてるから、花が咲いて実がなって、季節によってまた景色が変わるから、それもおもしろいし。
_本当に現場がお好きなんですね。今後やってみたい仕事はありますか?
そりゃ暑い、寒いはあるし、毛虫に刺されるのもしょっ中ですけど、アブよりも毛虫がけっこう大変なんで。
でも一生やっていきたいですし、そう思えるのは天職かもしれないですね。そしていつかは親方みたいに自分で大きな現場を任されるようになりたいですね。
_素晴らしいですね。では最後の質問ですが、「はにかむような笑顔がいい」とビューガーデン女性スタッフの支持率ナンバー1ということですが、それについてはいかがですか?
4世代同居の農家の8人家族なので、親世代の女性と接するのに緊張しないというのはあるかもしれませんけど。
はい?4世代同居です。祖父母・父母・自分たち夫婦と1才8か月の娘とあとは妹です。
あーいってなかったですか?ん?ひょっとして「イケメンインタビュー」って独身でしたか???
<番外編>
インタビュー当日は最高気温が35度を超える猛暑日。
そのため、ものすごい野次馬ならぬアブたちがわんわと飛んでいました。
そのため、途中でインタビュー中断してアブ退治。
インタビュー中もとなりに「虫よけスプレーと殺虫剤」というすごいロケーションでのインタビューとなりました。
虫よけスプレーにアースジェットにはえたたき常備
___ビューガーデン
住所:紫波町紫波町小屋敷字新在家1-117
℡ :019-673-7882
fax:019-673-7883
春~初冬まで。入園無料。
「セロ弾きのゴージュ」のモデル、藤原嘉藤治が開拓し、高村光太郎が「天然の舞台」と讃えた広大な地に広がる自然の遊園地。植物園・遊びの森・イベント広場・ベリー畑・花しばふ・ハーブ園・ショップ・
キャビン・ドッグラン・貸し農園などを併設。本館の二階ではアロマ講座や工芸などさまざまなイベントも開催。イベントの詳細はホームページでご確認ください。
__株式会社共同園芸
住所:紫波町紫波町二日町字北七久保58-1
℡ :019-672-32552
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