インタビュー

新安比温泉フロント課 高橋優樹さま(35才)

「本当は私じゃなくて、厨房にすごいイケメンがいるんですよ~」と第一声。

それでも「ホテルの第一印象を決めるフロントの顔でしょ」とおかみさんに任命され、登場していただいた。

実際に、新安比温泉静流閣で働く女性スタッフの支持は熱く、「いかなる時もあわてない」し、「聞き上手」なのだそうだ。

小、中、高校と野球部で、「キャッチャーなんだけれど他のポジションもやってましたね」という柔軟性は、社会人になって一見畑ちがいの仕事にも「いつのまにか馴染む」という適応能力になった。

実年齢よりは若く見えるが、「頼れる男」なのだ。


_新安比温泉へ入社するまでの経緯を教えてください。

 ここにくるまでに何度か転職しているんです。

最初は高速道路のサービスエリアで販売の仕事してまして、次が通信機器の営業マン、その次が市場でマグロを卸す仕事、そして盛岡の繋温泉でフロントマンになりました。

実家が八幡平市の旧松尾村なんですが、1年半前に実家に帰ることになりまして、それで新安比温泉へ入社しました。

「マグロの世界からホテルマン」ですか?う~ん、たしかに畑違いですけれど、職場の目の前が御所湖だったから釣りできるかな~なんて当時は軽い気持ちで。

でもどうせ転職するならやったことのない仕事をやってみたくて、だから前の仕事とあまり関連性のない仕事についているんですかね?

うーん。自分ではそんなにビックリしてないですよ。

今のこの新安比温泉もまだ入社1年半なのに、古くから働いているパートさんに、「十年も前からいたような顔してるよねえ」といわれてます。たしかに新しい環境に溶け込むのは早いみたいです。


_同僚の方いわく、「何があってもあわてない男」だそうですが、仕事で気をつけていることはどんなことですか?

それ、「何考えてるかわからない男」の間違いじゃないですか?(笑) 

そうですね。身だしなみや笑顔という接客の基本はもちろんですが、それぞれのお客様が何を望んでいらっしゃるのか、常に考えて的確な対応をするように心がけています。

お客様もいろいろな方がいらっしゃいますから、たとえば昨年の大みそかは大雪で、国道でトラックが立ち往生してしまい、ふだん片道20分の安比スキー場を17時半に出発したバスが当館に着くまで5時間以上かかってしまったんです。

夜の11時過ぎにお膳をお出ししたわけですが、「大変な思いをしたけれども夜中にこんな暖かいお膳を食べれるなんて・・」と感激してくださるお客様もいらっしゃれば、疲れて不機嫌なお客様もいらっしゃいます。

でもどのお客様にもお帰りになる際は笑顔で帰っていただきたくて・・。大晦日の日に不機嫌だったお客様が、帰り際にボソッと「また来ます」といってくださった時は嬉しかったですね。

祝い膳より

祝い膳より

祝い膳より

祝い膳より

祝い膳より

祝い膳より


祝い膳より














_新安比温泉は知る人ぞ知る薬湯と聞きました。開業はいつですか?

昭和62年12月に日帰り温泉としてスタートし、翌年63年からは現在のあじさい館で宿泊もできるようになり、平成2年にはりんどう館がオープンしました。

泉質が強食塩泉といって水1㎏中に食塩が海水の2倍にあたる20gも含んでいるんです。しかも塩分だけでなく、硫黄や鉄など火山マグマに由来する成分も多くて。

このような泉質は非常に珍しいそうで、有馬温泉と並ぶ泉質だそうです。たしかに成分が皮膚をコーティングしてくれるのでよく温まりますし、肌にもよいようです。

抜群の泉質。成分の結晶。

ロビーにある自由帳

私も入社して驚いた話ですが、ほぼ毎日うちの温泉に入りにきてくださる男性のお客様がいらっしゃいます。その方はもともと関東に住んでいた方でアトピー治療で全国の温泉を歩いていたそうですが、うちのお湯を大変に気にいってくださって、ついには八幡平市に転居までされたのです。

かの瀬戸内寂聴先生も当館のお湯を気に入って下さって、大浴場とは別に「らくらくの湯」というのがあるのですが、これは寂聴先生に命名していただいたお湯です。

熱烈なファンもいらっしゃる一方で、まだまだ当館の「お湯のよさ」が知られていないのも事実で、PR不足だと思っております。

このお湯の素晴らしさをなんとか多くの方々に知っていただきたいと思っています。



_ここ数年、社内は大改革中と聞きましたが?

平成12年に前オーナーから現在の会社へ経営が変わりましたが、しばらくは前オーナー時代のやり方で大型バスの団体旅行を主にやってきたそうです。

しかし、2年前に現社長とおかみに体制が変わり、平成22年、新安比温泉静流閣として、一の坊などを手掛けた女性建築家にお願いし、ロビーを中心に大改装しました。

それとともに「時代は団体旅行から個人旅行へ」ということで、より肌理細かなサービスを徹底するように心がけています。


他にはない特注品です。

これで入浴後も安心ですね。

たとえば当館へのチェックインは、よほど混んでいるときを除けば、改装したロビーでお茶をお出ししながら手続きさせていただいておりますし、ある女性スタッフの発案で、宿泊されたお客様が大浴場でご自分のスリッパを見失わないように部屋の番号札をつけるようにしました。


そのほか備品にもこだわっていて、こちらお客様にチェックインしていただく際のボールペンですが、鉄器に漆を塗った特注品なんです。

実は「団体から個人へ」というのは、サービスがとても難しいことで、団体旅行の場合は、幹事さんとか旅行会社さんが求めるある種のマニュアルみたいなもの、「ここやっておけばまあ合格点でしょう」 というようなある一定の線を作りやすいのですが、個人のお客様はそうはいきません。

お客様ひとりひとり求めるものが違いますし、同じことをやっても満足するお客様とそうでないお客様がいらっしゃいます。お客様の好みも多様化しています。

当館は20代~40代の若いスタッフが多いので、お客様ひとりひとりの求めるものをキャッチできる人間的な魅力を高めていかないといけないと思っています。もちろん私をはじめ、まだまだ全員が勉強中です。


_さすが、「頼れる男」のコメントですね。ところで今気が付きましたが、高橋さん、笑うとエクボができるんですね。最後に、のびあの会員に対するPRを!

このエクボのでる笑顔でお待ちしております!いえいえ、もっと大事なことを・・・。のびあさんの会員さまへの特典は、「日帰り入浴料金の100円引き、宿泊時のドリンクサービス」などありますので、フロントで会員証を提示してください。

実は今回、のびあの女子会員さんにお願いしたいことがあります。

当館のロビーを改装してから、ロビーを使ったコンサートを2度開催してきましたが、次回のイベントをぜひのびあさんの会員のみなさまで考えていただきたいのです

雪が解けてアクセスがよくなった春~初夏に新安比温泉で行うイベントの企画です。コンサートに限定することはありません。

みなさまの自由な発想で、「自分だったら参加したい!」と思うようなイベントをぜひ当館スタッフと一緒に考えてください。よろしくお願いいたします。



_新安比温泉静流閣_

日本有数の稀有な朱い湯に抱かれる、山里に建つ一建宿「静流閣」。

日常を忘れ、豊かな時間をお過ごしください。

おかみ(右から2人め)と本日のフロント課です。

塩釜市在住の書道家の作品です。

http://www.sinappi.jp/


新安比温泉静流閣
〒028-7533
 岩手県八幡平市叺田43-1
TEL:0195-72-2110
FAX:0195-72-2402